【本】よくわかる現代魔法

本のレビューはこれまで涼宮ハルヒシリーズのフィギュアを使ったシナリオ形式でやってきましたが、面倒になったので(笑)これからは普通に感想を述べていくことにします。
で、
『よくわかる現代魔法』
集英社のライトノベルレーベル、スーパーダッシュ文庫から出ている現代ファンタジー小説。
魔法というと何を思い浮かべるだろうか。杖を振りかざして呪文を唱える老人? 箒にまたがって空を飛ぶ妖艶な魔女? 剣と鎧を身に着け、ホイミ、ラリホーと唱える伝説の勇者? 『名前を言ってはいけないあの人』と戦う魔法使いの少年? 魔法を扱った物語は数多あれど、呪文や杖といった要素は相変わらず魔法を表す記号として使用されている。現代社会が舞台の『よくわかる現代魔法』では、科学の発達によって効率の悪い、昔ながらの魔法は廃れてしまい、新たな魔法体系が編み出されていた。新たな魔法──『現代魔法』は、『コード』を用いて物理法則をねじ曲げ、不可思議な現象を引き起こす点は古典魔法と変わらないものの、コードを実行する媒体が人間の精神や肉体ではなく、シリコンで出来たコンピュータのCPUである点が古典魔法と一線を画すところだ。現代魔法の使い手はプログラムを書くように『コード』を組み立て、コンピュータ上で魔法を実行するのだ。コードを実行するという観点から見ると人間の肉体もシリコンのチップも同じ。杖に代わるマジックアイテムはコンピュータとなり、呪文はプログラムとなったわけだ。
自分は仕事やプライベートでコンピュータのプログラミングをするので、プログラムのソースコードを『読む』ことができる。世の中には何種類ものプログラミング言語が存在するが、高級言語ならば、基本的な文法や構造は似通っているため、知らない言語でも「ああ、このプログラムではこういうことをやっているのだろうな」と推測することもできる。でも、プログラムのことを知らない人から見たら、ソースコードなんて魔法の呪文のようなものだろう。そう思って、『魔法』と『コンピュータ』をキーワードに検索した結果たどり着いたのが、この小説だった。作者も元はコンピュータの技術者だったようだから、同じようなことを考えていたのかもしれないな。コンピュータが魔法のアイテムであるなら、この世は魔法に溢れている。それはある意味、幻想的でわくわくするし、そして恐ろしくもある。魔法もコンピュータも所詮は道具に過ぎない。道具は使い方次第で……いや、使う人次第で善にも悪にもなるのだから。
主人公の森下こよみは学業も運動も成績のよくない高校一年生。おまけに背の低い幼児体形で小学生に間違われることもしばしば。誇れるところがほとんどない彼女は自分を変えたいという一心で偶然見つけた魔法学校のチラシを見て、現代魔法の第一人者、姉原美鎖に弟子入りする。いわゆる高校デビューってやつですか? いや違うか……舞台がクリスマスの頃だし──それは置いておいて、こよみはキーボードを押すものもおっかなびっくりなコンピュータ音痴なうえ、どんなコードでも『金だらい召喚』のコードに変換してしまう特異体質が発覚。魔法は使えないけどコンピュータが得意の同級生、坂崎嘉穂や、気の強い古典魔法の使い手、一ノ瀬弓子・クリスティーナも登場し、こよみ達はある陰謀に立ち向かっていくわけなんですが、さてどうなることやら。
主要なキャラは女子高生3人と大学院生1人の女4人で、サブキャラとして姉原美鎖の弟が出るけど、甘くてとろけるような何かやそこから生じるドタバタはほとんどなく、少年マンガにありがちなバトルものともちょっと違う。いろいろとダメだけど、頑張って何かを成し遂げようとするこよみが周囲に変化を促し、こよみ自信も成長していく、そんな物語。
なお、『よくわかる現代魔法』はこの夏にアニメ化されるらしい。興味の湧いた人はこっちのほうも要チェック。
アニメ公式サイト:http://www.gendaimahou.com/