───地球防衛軍、機動戦艦『ナーガル』ブリッジ。
天気晴朗なれど波高し。地球の命運はこの一戦にあり。みんな命果てるまでキリキリ働くのよ。全艦第一種戦闘態勢!
提督、ホルス地球総督代理から通信です。
涼宮提督、我々の戦力は、艤装を前倒しした新造艦も含めて、戦艦百二十隻、巡洋艦二百四十隻、駆逐艦四百隻だ。ダハクが戻らない以上現有戦力だけで地球を防衛せざるを得ない。対するアルチュタニは四千隻を越えている。現在数派に分かれて地球へ進撃中だ。まもなく君の前に現れるだろう。敵の技術レベルは帝国より数千年遅れているとのことだが、我々の劣勢は否めない。地球本星はシールドジェネレーターと軌道ステーションの戦闘機隊で持たせる。君の機動艦隊は敵艦隊主力を迎撃してくれたまえ。
わかったわ、ホルス総督代理。バカキョンなんか当てにしちゃだめ。アルチュタニだかなんだか知らないけど、このあたしがギッタンギッタンしてあげるわ!
君らしい答えだ。頼りにしているよ。貴殿に神(メーカー)の御加護を。幸運を祈る。
あんたもね。
涼宮提督、全艦隊配置に付きました。
進路クリア。全システムオールグリーン。
前方二十万kmにアルチュタニ艦隊、数はおよそ六百。
よーし、きたわね。目に物見せてやる。全艦、重力子ミサイル発射!
ミサイル発射………………………目標まで十秒……………五…四…三…二…一…命中……敵艦隊、戦力の40%を喪失。
敵艦隊が相転移ビーム砲の射程内に入りました。
ビーム砲一斉発射! 全力射撃よ!
相転移ビーム砲、全力射撃開始…………………………………………敵戦力20%まで漸減。
すごい。
圧倒的じゃない、いけるわ!
熱源多数発生。敵ミサイルです。迎撃してくださああい。
迎撃ミサイル発射。シールド最大。
ドカーーーン
駆逐艦タニグチ轟沈。巡洋艦クニキダ大破です。ふええぇぇ。
なによあいつら全然役に立たないじゃない。
二時方向に新たな敵影。数、二千二百。
敵の主力よ。撃って撃って撃ちまくれー!
…………………………
……………………
………………
…………
……
ドカーーーン
相転移ビーム砲損傷───使用不能。重力子ミサイル残弾ゼロ。
ドドーーン
居住ブロック大破。ああん、先週買ったお洋服が灰になっちゃいましたぁ。
ドコーーーン
シールドジェネレータ損傷、出力20%まで低下。
第三エンジン、被弾のため緊急停止しました。
みくるちゃん、味方の残存戦力を報告して。
現在行動可能な船はわたしたちのナーガルを含めて戦艦八隻のみです。
七百隻以上いた艦隊がたった八隻ですか……。
敵の損害は三千隻以上。
けど、敵にはまだ千隻の戦闘艦が残っているわ。
アルチュタニが恐れられている理由……わかった気がする。
………。
敵ミサイル接近。回避運動! クソッ間にあわない!
ドドーーン
きゃああああ
みくるちゃん!
朝比奈さん!
みくるちゃん、しっかり!

だ、だいじょうぶですぅ。
大丈夫じゃないでしょ、頭から血が出てるわ! 救護班、至急ブリッジに!
ううう、いたいですぅ。
十時の方向新たな敵影。数、五百。
これではきりがありません。
くっ……これまでね。
総員退艦命令。古泉君、有希、操縦系と武器管制のコントロールをこちらに回して。あなたたちもみくるちゃんを連れてこの船を去りなさい
………!
なにをなさるおつもりですか、提督!?
艦長は船と運命をともにするものよ。弾薬は尽きても敵艦隊の真ん中でメインエンジンをバーストさせれば、敵の何隻かは巻き添えにできるわ。
死ぬ気ですか……だったら僕も残ります。素人の操艦で敵のど真ん中までいけるとは思えません。
敵勢力は圧倒的。目標地点にたどり着くまで撃沈される可能性が高い。シールドジェネレーターと近接防御火器はまだ機能する。艦の防御はわたしが担当する。
有希……古泉君……。
わたしも残ります。
みくるちゃんはダメよ。脱出艇に行きなさい。いまならまだ間に合うわ。
いやです、わたし一人だけ生き残るなんて……。わたしだって……わたしだって……未来を守りたいんです!
………。
わかったわ。みくるちゃん、席に着きなさい。
はい!
みんなごめんね。あたしが不甲斐ないばっかりに、こんなめにあわせちゃって。
なにを言っているんですか、涼宮さん。あなたのせいなんかじゃありません。
わたしたちはSOS団。いかなるときも仲間を見捨てるべきではない。
そうね、あたしたち仲間よね……。
こんなときキョン君がいてくれたら……。
みくるちゃん、ここにいないやつのことなんか忘れなさい。もう泣き言はなしよ。覚悟を決めたんでしょ!?
す、すみません。
よーし、みんな、いくわよ!
機関全速。目標敵艦隊中枢。戦艦ナーガル前進せよ。たとえ宇宙の塵となってもSOS団は永久に不滅よ!
アイアイ、マム。機関全速。ナーガル前進します。
シールド出力は15%が限界。全リソースを近接防御に充当。
(さよなら、キョン。まったく、肝心なときにあいつはいないんだから……そんなんだからいつまでたってもバカキョンなのよ………………キョン……せめてもう一度……もう一度会いたかった……)
あっ! す、涼宮さん、射手座方向にクローズドディメンション反応。複数の物体が閉鎖空間からクラックアウトしてきます。お、大きいです……質量が通常の船とは桁違いです!
新たな敵!?
違います。帝国軍の識別信号を出しています。あっ、ダハク……ダハクの信号を確認しました!
『ギリギリのタイミングだが、なんとか間に合ったようだな』
キョン!
キョン君!
!
………。
ごるあぁぁぁぁ、バカキョン! いまごろやってきてどういうつもりよ!? あんたはいつもいつもいつも時間に遅れてきてぇぇ!! 罰金よ、罰金!!
『おい、ちょっと待て。この世界でも俺はみんなに奢らなきゃならないのか!? せっかく帝国の近衛艦隊を連れてきてやったのに』
やかましいぃ! 全人類にアンドロメダ焼き奢りなさい! 奢らなきゃ死刑なんだからね!
『やれやれ、わかったよ、死刑は嫌だからな』
あとは彼に任せて、後方で読書でもするべき。
おやおや、なんだか唐突ですね、長門さん。
上位存在が広告を挟むタイミングを逸した。迂闊。
『反逆者の月2―帝国の遺産―』は『反逆の月』の続編です。きたるべきアルチュタニの襲撃に備え、帝国に援軍を請うためにコリン・マッキンタイアは月宇宙船ダハクとともに銀河へ旅立ちます。最も頼りになる戦艦ダハクがいなくなり裸同然の地球。そこへアルチュタニの先遣部隊が襲いかかります。多勢に無勢の絶望的な状況の中、死力を尽くして果敢に立ち向かう防衛軍。果たして地球の運命やいかに?
ん? ハルヒパートでネタばれしているんじゃないかって? かもしれませんが、ハルヒたちが演じている戦いは、本編上ではホンの序の口の出来事ですよ。
▼出演▲
SOS団のみなさん
男性14(BAR206より)