206購入記

実録プジョー206への道のり

1.葛藤

目次

1.葛藤
2.遭遇
3.矛先
4.伏線
5.運命
6.試乗
7.衝動
8.契約
9.惜別
10.納車

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ミニプジョー206を購入する前、私はローバー・ミニに乗っていた。

「ミニは壊れる」という巷のうわさどおり、私のミニもよく壊れた。幸いにも、道の真ん中で立ち往生、といった重大トラブルは経験していないが、点検に出すたびに、オイルが漏れているだの、あの部品を交換したほうがいいだの、いろいろと指摘された。
オイル漏れに関しては、ほとんど持病のようなもので、三度修理に出し、そのうち一回はエンジンを降ろしての大掛かりなものだった。
ほかにも、エアコンの故障、燃料計の挙動不審、ブレーキシリンダーの錆つきなどなど、新車で購入してから約2年間、数々の不具合が見つかり、そのたびに修理入庫を余儀なくされた。

私は迷った。

今はまだ保証が効くからいい。しかし、保証が切れて自分で修理費を負担しなければならなくなったとき、経済的にやっていけるだろうか? ある意味、故障自慢もミニ乗りの醍醐味ではあるが、安月給のサラリーマンには結構きついものがある。だが、保証期間内に不具合を直せるだけ直しておけば、その後は調子が良くなるのではないだろうか? しかし・・・

長く苦しい葛藤の末に私は決断した。

買い換えよう・・・と。

ミニは運転して楽しいクルマである。峠道や高速道路に行かなくても、街中を普通に走っていても楽しいのである。購入した当初は、10年でも20年でも所有するつもりだった。しかし、その「つもり」は厳しい現実の前に、はかなく消えてしまったのである。

時に1999年1月のことであった。

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2.遭遇

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5.運命
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ミニを買い換えることにした私はその時期を2000年3月に設定した。1年以上先だが、これには訳がある。ミニ購入の際、当時ローバーが推奨していた「スマート・オーナーシップ・ローン」を利用したからである。これは新車購入から3年後の残価を設定して、それを差し引いた金額を分割払いで返すという、 リースみたいなローンなのだ。3年後には残価を支払わなければならないが、その方法として・・・
  1. 残価分を現金で支払う。
  2. クルマをローバー返却してそれを残価の支払いに充当する。
  3. 別のローバー車に乗り換える。

・・・といった三つの選択肢がある。要するに私は二番目の選択肢を選んだわけだ。ミニは1997年3月に買ったので、2000年3月がちょうど3年目に当たるのである。

時期が決まれば車種選びである。ところが、ここで大きな問題にぶち当たった。これといって欲しいクルマがないのである。ただ漠然とお金のかからない安い小型車がいいなあ、なんて思っていただけなのだ。ま、とりあえず情報を集めよう。そのうち欲しいクルマも見つかるに違いない。

そんな折り、ポートメッセ名古屋で「’99名古屋輸入車ショー」が開催されると聞いて、クルマ選びの参考に見に行くことにした。

’99名古屋輸入車ショーの206そこではじめて206と接近遭遇!

展示してあったのは、左ハンドルのフランス仕様車。ブースの係員にたずねると、日本仕様は右ハンドルとなり、夏頃導入とのこと。まだ値段はわからない。
「ふ〜ん、安いグレードのMT仕様が、150万くらいだったら買ってもいいかな」・・・と思いつつ、その場を後にする。206のデザインは結構気に入ったが、この時点ではまだ不明な点が多く、あまり乗り気になれなかったのである。

ショーでは、206以外にも、ポロ、ヴィータ、ルーテシア、トゥインゴなど魅力的な小型車が展示してあったが、思わず欲しくなるようなクルマは見つからなかった。それはなぜかというと、私はMT派の人間なのでATしかないクルマは基本的にパスなのだ。トゥインゴはMTじゃないかとおっしゃる諸兄もおられるかと思いますが、左ハンドルもパスなのだ

 

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3.矛先

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輸入車ショーで大きな収穫はなかった。そこで私は矛先を国産車に向けた。

ところが、雑誌やインターネットから情報を集めてはみたものの、なかなか欲しいクルマが見つからない。そんな中で、わりといいな、と思ったクルマが、ホンダHR−Vとトヨタヴィッツである。

HR−Vは斬新なデザインが「売り」のSUVである。そのデザインはもちろんのこと、コンパクトなボディがいい。運転も面白そうだ。雑誌をみると内装は安っぽいとの評価だが、高級感だけのつまらないクルマよりよっぽどいい。ところが、HR−Vはオプションなしの素の状態では安いのだが、欲しい装備を付け足していくと結構な値段になってしまう。う〜ん、ちょっと保留だ。

ヴィッツの気に入ったところは、やはりそのデザインである。加えて、室内が広く、価格が安いところも気に入った。しかし、試乗して確かめたわけではないが、カタログ標準モデルは走りがいまいちのようだ。それではつまらないので、インターネット専用のユーロスポーツエディションはどうなんだ? とトヨタのホームページを見にいってみると・・・なんだこりゃ、走りうんぬんの前にユーロスポーツエディションにはボディカラーが黒しかないではないか!

ちなみに私のボディーカラー選びの基準は・・・

  1. 有彩色であること。白、黒、シルバー等の無彩色はパス。
  2. 有彩色でもダーク系はだめ。

・・・てなわけで、ヴィッツも保留。そのうちユーロスポーツエディションにも別のボディカラーが追加されるかもしれない。そのときにもう一度考えよう。

とまあ、クルマ選びは楽しいが、なかなか前進していかない。

そして、故障が多くてもこのままミニに乗りつづけるのも選択肢のひとつだな、と思い始めた頃、その車が現れた。

フォードKAである。

(206はまだよ(^^;)

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4.伏線

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'98名古屋輸入車ショーのKA1999年4月、フォードKAが発売された。ATが主流の日本に持ってきてMT仕様しかないという思い切りのよさが、MT派の私としてはとても好感が持てる。

実は私が通勤で利用しているバス停の近くにフォードのディーラーがある。家から歩いて5分くらいのところにところだ。ある朝、いつものようにディーラーの前にさしかかると、ガラスに囲まれたショールームに丸っこくて赤いクルマが展示してあった。おっ、あれがKAか・・・クルマ選びのおかげで知識だけは豊富な私には、そのクルマの正体がすぐにわかった。変わった形だが、実物を間近にしてみると、さほど違和感がない。そして、屋外に展示してある黒いKAには「試乗できます」の札が・・・。
よし、今度の休みに試乗してみよう。

で、次の休日にフォードのディーラーに出向き、試乗を申し込んだ。
まずはカタログをもらい、セールス氏からひととおり説明を受ける。私のほうも、クルマの買い換えを検討しているが、時期はもう少し先なことを説明する。

試乗してまず感じたのが操作系の軽さ。ステアリングはわりと重めだが、パワステなしミニと比べればずっと軽い。クラッチペダルもミニよりもはるかに軽い。そのためクルマ全体が軽い感じがする。走りも軽快感があって楽しい。いつも通る細い道も走ってみたが取り回しにとくに問題がない。

試乗の結果、私はKAがすっかり気に入ってしまった。
価格も安いし、好みのボディカラーもある。

KAにしようかな・・・

私の気持ちは半分固まりかけた。

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5.運命

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歴史や人生には、あのときこうだったら、ああしていれば、といった転機が存在する。そのときはわからなくても、あとで思い返してみると、「ああ、あれが運命の分かれ道だったんだな」と感じることが、誰にでもあると思う。

「CAR and DRIVER」6月10日号1999年5月初旬、私は立ち寄ったコンビニで一冊の雑誌を手にした。「CAR and DRIVER 6月10日号」である。パラパラとページをめくってみると、輸入車ショーで見たプジョー206の記事がある。ふ〜ん、もうすぐ発売になるんだ。さらにページをめくると、フォードKA・トヨタヴィッツ・ルノートゥインゴの比較記事が目にとまった。トゥインゴはともかく、KAとヴィッツの比較に興味を持った私は、その雑誌をレジへ持っていった。

しかし、家に帰ってじっくり読んだのは、比較記事ではなく206の記事だった。
KAほど奇抜ではないが個性的なデザイン。MT中心のラインナップ。いちばん安いグレードのMT仕様が165万円、と私の希望にほぼ沿う値段。
206が気になり始めた私は、早速インターネットに接続して情報収集。だが、プジョージャポンのホームページにはたいした情報が掲載されていない・・・っていうか、全体的にほかのメーカーに比べて内容が薄いぞ、プジョージャポン!
・・・それはともかくとして、ホームページでデビューフェアの日程をチェックし、206をディーラーに見にいくことにした。

いまだからいえるが、あの雑誌を手にしたのが運命の分かれ道だった、と思う。KAとヴィッツは206に至る伏線だったのだ。

クルマ選びもいわば人生の一部である(^^)。

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6.試乗

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...まぶしいクルマ...

1999年5月14日、デビューフェア前日、新聞にプジョー206の全面広告が掲載された。
否応にも期待が高まっていく。

フェア当日、なんとなく朝早く目がさめた私は「BLUE LION 名古屋名東営業所」(以下BL)に向けてミニを走らせた。BLの近くに着いたのが9時45分。まだ開店には早いかなと思い、BLには入らず周辺をぐるりとまわる。実は以前、この近辺に住んでいたことがある。そのころ、現在BLのある場所はマツダのディーラーだったのを覚えている。おや、前に借りていた駐車場にレガシーが停まっているぞ。となりのBMWは相変わらずだなあ・・・。で、10時頃にディーラーに入る。

ミニを駐車場に停めてショールームに入ると、美人セールスレディ・Kさんがタンジェリンオレンジの206の傍で待ち構えていた。彼女に206のカタログが欲しい旨を伝えると、アンケートを書いてくれ、とのこと。そそくさとアンケートに記入しながら店内を見渡してみると、クルマを点検に出しにきた風の人が1名いる。206目当ての客は自分以外にいないようだ。朝早いせいもあるだろうが、206ってそれほど注目されていないのかな? とかなんとか考えていると、Kさんがカタログとフェア来場記念(?)の「206携帯ストラップ」を持ってきてくれた。う〜ん・・・携帯電話は持ってないけど一応もらっておこう(^^;;。アンケート用紙を渡しながら、試乗できるかとたずねると・・・

「ATとMT、どちらにしますか?」

・・・2台も試乗車を用意しているのか。
思わず「両方お願いします」といいそうになったが、とりあえずMTを選択した。

それで乗り込んだのが、プラチナグレーの206。オドメーターはまだ2桁台のピカピカの新車だ。同乗してくれたのはKさんとは別のセールスレディ(名前は失念しましたゴメン)。走り出してからそのグレードが1.6リッターのXSであることを教えてもらう。彼女の言によると私が試乗第1号らしい。試乗コースはよく知っている道なのでリラックスして運転できた。

ではインプレッション・・・といきたいところだが、このときの試乗ではドライビングポジションをちゃんと合わせられなかったため、走りを充分に堪能できなかったというのが正直なところ。それを加味して感想を述べると・・・フランス車によくいわれる、いわゆる猫足というやつはよくわからなかった。長めのシフトストロークは違和感あり。室内は静かで快適。暑かったのでエアコン全開だったがその能力に問題はない。ステアリングは適度に重くてフィーリングもいい。そしてなによりもエンジンがとてもスムーズで気持ちがいい。この一点だけでも私の心を捕らえるのに充分だ。気に入ったぞ206!

ディーラーに戻ると、試乗に出る前は閑散としていたショールームの人口密度が増えていた。みんな206が目当てらしい。Kさんと別のセールス氏はその対応におおわらわ状態だ。

ま、邪魔しちゃ悪いので、外に展示してあるサファイアブルーの206でドライビングポジションを確認してみる。試乗車はステアリングの位置が低く、膝があたらないようにシートを下げたため、シフトレバーが遠く感じた・・・なんだ、ステアリングはチルトできるじゃないか。これなら問題ない。 そのあと、トランクの容量や小物入れなどをチェック。

そうこうしているうちに、Kさんが気を利かせて一声かけてくれたが、すぐに別の客の対応にいってしまった。もうちょっと詳しい話を聞きたかったが仕方がない。どうせすぐに買うわけではないので、この場はとりあえず帰ることにした。

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7.衝動

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206は気に入った。しかし、KAも捨て難い。

この2車を比較すると・・・

走りの楽しさは同等。
エクステリアはどちらもアグレッシブだが、KAのほうはちょっとおもちゃっぽい感じだ。
インテリアについては、デザインはKAが優れていると思うが、質感は206のほうが上だと思う。トランク容量や使い勝手は206。
エンジン等のメカニズムについては、専門家ではないので、どちらが優れているかは正直なところわからない。だが、KAのエンジン形式がOHVなのが気になる。これはミニのエンジンと同じ形式なのだ。メーカーが違うので実際は別物なのだが、トラブルの多かったミニと同じ形式というのは、ちょっと気が引けてしまう。
価格については、KAが150万円、206のいちばん安いグレードが165万円、とKAのほうが安いのだが、206も予算の範囲内だ。 総合すると、クルマの完成度は206のほうが上のように思える。コストパフォーマンスの面でも、装備の充実度を考えると206のほうが上だ。

私の気持ちは206に大きく傾いた。
しかし、まあ、どちらを購入するにしても、それはもうしばらく先なので結論は先送りにしておこう。他にも欲しいクルマが見つかるかもしれないし・・・と思ったが、日にちが経つに連れ、206が欲しくてたまらなくなってきた。だが待て。買い換えは来年の3月だと決めたはずだ。206はミニのローンを払い終えてからだ。いや、しかし・・・。
理性と物欲の間で板ばさみになりながら私は悶々と過ごした。
そうこうしているうちに、206が発売から僅かな期間でかなりのバックオーダーを抱えたという情報をインターネットから入手する・・・。

・・・

・・・

ええい!ちくしょう!いますぐ買っちまえ!

そのとき、見えない力が私を突き動かした。

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8.契約

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1999年5月末日、206の購入を決意した私は、居ても立ってもいられず、再びBLに向けてミニを走らせた。ポケットに印鑑が入っていたのはいうまでもない。

BLに着くとKさんが出迎えてくれた。Kさんとは試乗した日に会ったきりだが、駐車場に入っていくミニを見て私だとわかったようだ。

で、ショールームに入って商談開始。

希望のグレードとボディーカラー、XT・3ドア・5MT・インディゴブルーをKさんに伝え、見積書ができあがるのを待つ。 グレードは、予算の関係上これしか選択の余地がない。ま、希望のMT仕様なので特に不満はない。 ボディーカラーについては少々迷ったが、XTに設定されている2種類のブルーの内、納期の早そうなものを選んだ。入荷予定表を見せてもらったらインディゴブルーのほうが台数が多かったのだ。プラチナグレーとクリスタルグリーンはちょっと地味な感じがするのでパス。チェリーレッドはミニに続いてまた赤いクルマに乗るのもちょっと芸がないなと思いパスした。

ミニは結局、下取りに出して残債を清算することにした。実は、ミニを買ったローバーのディーラーとBL名古屋は経営している会社が同じで、同じ会社のローバー販売部門とプジョー販売部門といった関係なのだ。つまり、ローバーに引き取ってもらうおうが、プジョーに下取りに出そうが、結局は同じ会社に引渡すことになるのである。

待つこと小一時間、ようやく見積書ができあがった。ミニの査定と残債の確認に手間取ったようだ。

結果、支払い総額225万円。オプションはフロアマットのみ。

本当は205万円なのだが、ミニの査定額と残債の差が20万ほど出てしまったので、それが上乗せになってしまった。これは残価設定型ローンの盲点といえる。ローンの途中でクルマを買い換えると、設定した残価分がまるまる残債として残ってしまうのだ。普通のローンにしておけば、残債と査定額はほぼ同じくらいになっていたはずである・・・とはいうものの、その20万は2000年3月までに分割で支払うはずだった額とほぼ同じなので、まあいいかな、という感じである。
納期については、大体7月頃ということである。それほど待たずに済みそうだ。

見積もりについて細かい説明を受けた後、私は躊躇なく契約書に印鑑を押した。

まったく突然ではあるが、これで私も晴れてプジョーオーナーというわけである。

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9.惜別

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1999年7月10日、2年と3ヶ月の短い付き合いだったが、ミニとの別れの日がやってきた。ローン精算の関係で、206が納車される前に下取車を引き渡さなければならないのだ。

しかし、まあ、トラブルが多くてもまめに修理してきたせいか、このところやけに調子がいい。いま手放すのは損だ、といわんばかりである。結局私はこのクルマのダメ出しをしただけなのだろうか。

JAPAN MINI DAY思えば、少しでも長くミニに乗るために、用事もないのにクルマで街中をうろついたり、買い物にいくにも、その辺で済まさずに、わざわざ遠くの店にいったりしたものだ。
1998年7月には、筑波サーキットへミニのワンメークレースを観に行き、その翌日にミニの一大イベントである「JAPAN MINI DAY」に参加するため「ツインリンクもてぎ」までミニを走らせたこともある。名古屋から往復約1000kmの長距離ドライブ。故障の多いミニでこれだけの距離を一気に走るのは、はっきり言って大きな冒険だった。そして案の定、帰り道でクーラーが壊れてしまった。

乗って楽しく、愛着のあるクルマだが、もう後戻りはできない。
私はBLを訪れ、そこでミニを引き渡した。

さらばミニ、次のオーナーのところでは故障はほどほどにしとけ

後日談

ミニを引き渡して2週間ほどたったころ、ローバー直営の中古車店の前を通ったら、元私のミニが店頭に並んでいた。ナンバーがそのままついていたので間違いはない。
それはいいのだが、販売価格を見て驚いた。下取りの査定額よりも、なんと、60万円も上乗せされていたのである!
点検整備や販売に経費がかかるのはわかるが、60万円も上乗せするか?それともこの業界じゃこれが常識?

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10.納車

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納車に関してディーラーから連絡があったのは7月下旬頃だった。

「いよいよ納車か?」と胸をときめかせたが、なんのことはない、7月末に私の206が日本に届くので車庫証明の手続きをしたという連絡だった。契約時の話では7月到着分が私に割り当てられると聞いてはいたが、よりによって7月末とは・・・。通関手続きと納車前整備に2週間から1ヶ月かかるとのことなので、うまくいけば8月中旬に納車できる計算だ。ところが、8月は盆の前後に夏休みがあり、メーカーもディーラーも休みなので納車は盆明け以降になりそうだ。

で、実際に納車されたのが、8月29日。実に3ヶ月待ったことになる。

納車日前日はうれしくて眠れないだろうな・・・なんて思っていたが、思い切り爆睡してしまった。それでも、いつもより早めに起き、バスを乗り継いでBLに向かう。バス路線が通っている道は交通量が多いのでどうせ渋滞しているだろうと思い、少々早いバスに乗った。だが、予想に反して道は超スムーズに流れ、途中のバス停で時間調整するためにしばらく停車していたほどだった。考えてみれば、日曜日の10時前に渋滞なんてそうあるもんじゃない。あんまり早くいって準備ができていなかったらつまらないので、2つ手前のバス停で降り、そこから歩いていくことにする。

余談だが、ミニを手放してクルマなしの状態が2ヶ月続いたおかげで、公共交通機関を利用したり、少々の距離なら自分の足で歩いたりすることがすっかり板についてしまった。極端な話、私の住んでいる名古屋や、東京、大阪といった都会に住んでいる限り、クルマは必ずしも必要ではない。しかし、バスや電車は駅や都心部にいくには便利だが、郊外から郊外、地方から地方へいこうとすると、とたんに不便になってしまう。本数が少なかったり、乗り継ぎが多かったり、やたらと大回りしたり・・・やっぱ、クルマがいちばん便利だな。

BLには10時過ぎに到着。約束の時間は10時半だったので、喫茶店でコーヒーでも飲んで時間をつぶそうかと思ったが、開いている店が見つからない。ま、いっか。
ショールームに入って名前を告げると、早速実車の確認。準備はすっかり整っていた。来客用の駐車場には、ブルーの206が・・・おおっ、あれか。インディゴ・ブルーってカタログで見るより、ずっと鮮やかな色だ。
・・・で、担当のKさんに各部の説明をしてもらう。装備のなかにはカタログの記載とは違った部分もあるがこれといって問題はない。ショールームに戻って、サービスや車検証等の書類について説明を受ける。これも問題はない。

続いて納車式・・・納車式ぃ?!なんじゃそりゃ?

なにが行なわれるのか期待半分不安半分だったが、なんのことはない、単なるスタッフ紹介と花束贈呈と写真撮影があるだけだった。Kさんは「ちょっと恥ずかしいかもしれませんけど」なんていっていたが、私は意外と冷静だった。

・・・

さあ、儀式も済んだことだし、206で街へ繰り出そう。
206への道のりはここで終わるが、206との生活がここから始まる。

206

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そして

206日記へつづく


長文駄文にお付合いいただきありがとうございます。

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